妊娠中にダイエットしても大丈夫?太りやすい理由や赤ちゃんへの影響は?
2020.09.18
妊娠すると、太りやすくなったと感じる人が多いかもしれません。
お腹の中で赤ちゃんがぐんぐん成長しているため、体重の変化は当たり前のことですが、日々増える体重に不安を覚えるママもいます。
また、妊婦検診や母親教室に行くと、太り過ぎないようにと注意されることがあります。
お腹の赤ちゃんのためにも、自分の体の変化を知って適正な体重を維持するための、ダイエットをしましょう。
目次
妊娠中に太りやすい理由は?
妊娠すると女性の体はどんどん変化していきます。
まだお腹は大きくなっていなくても、体内では胎盤や羊水が作られ、血液や水分の量も増加しています。
赤ちゃんのために体は頑張って働いているのに、なぜか太ってしまう。
そこには、妊娠中ならではの理由があるのです。
妊娠による代謝の変化
炭水化物やスイーツに多く含まれる糖質は、大切なエネルギー源ですが、同時に太る原因ともされています。
体内に入った糖質は「インスリン」というホルモンが働くことで、筋肉や肝臓などに分配され、余った分は脂肪として体内に蓄積されます。
妊娠すると、赤ちゃんにエネルギーを与えるために胎盤から血糖値を上昇させるホルモンが分泌され、結果的にインスリンが働きづらくなってしまうのです。
インスリンの働きが弱くなってしまうことにより、どんどん脂肪が蓄えられてしまい、結果的に太りやすくなってしまいます。
倦怠感などによる運動不足
妊娠中はつねに体が赤ちゃんに栄養を送り続けているため、妊娠前よりも疲れやすくなります。
そのため体が重く倦怠感が出やすいため、運動不足に陥ってしまうのです。
担当のお医者さんから安静を指示された場合は別ですが、なるべく体を動かすようにしましょう。
ご飯の食べ過ぎ
吐きづわりや匂いづわりだったママだと、妊娠後期に入ると食べ物がより美味しく感じられ、ついつい食べ過ぎてしまう傾向にあります。
また、食べていないと気持ちが悪くなる「食べづわり」になる人もいます。
妊娠中は何かとストレスを溜め込み、甘いものに走ってしまうことも珍しくありません。
適度な息抜きは必要ですが、臨月に近くなると何もしなくても体重は増えていくので、初期から意識することが大切です。
妊娠中のダイエットを成功させるには
妊娠前とは違う体になっているため、今までのダイエットと同じことをしてはいけません。
体重を落とすダイエットではなく、増加させないように意識することが大切です。
日常生活の中でも、妊娠中の体重増加を防ぐ方法はたくさんあります。
ダイエット前にお医者さんに相談を
妊娠中に体重増加が気になっていたとしても、お医者さんや保健師さんからの指導がない限り過度なダイエットは必要ありません。
無理に痩せようとして赤ちゃんに栄養が届けられなくなったら、本末転倒です。
赤ちゃんのことを最優先に考えて、自分に本当にダイエットが必要かどうか、まずは担当のお医者さんに相談しましょう。
食事の内容を見直す
妊娠中の食事で気をつけたいことは「糖質過多」にならないようにすることです。
糖質は体にとって大切なエネルギー源です。
しかし過剰に採りすぎると代謝しきれなくなり、体内に脂肪として蓄積されてしまいます。
また、余分なカロリーを摂らないように野菜や脂身の少ない赤身のお肉や魚を使うなど、脂質を抑えたメニューにするとよいでしょう。
メニュー以外にも、魚や肉などの食材の調理方法を「焼く、揚げる」から「蒸す、ゆでる」に変更するだけでも、余分なカロリーをカットできますよ。
妊娠中にもできる運動をする
安定期と言われる16週~28週の間は、妊娠中でも運動をしてよいといわれています。
しかし、たくさん汗をかくような激しい運動は禁物。軽いウォーキングや階段の昇降運動、マタニティヨガなどがおすすめです。
適度な運動は体の調子を整えたり体力がつくため、スムーズな出産や分娩時間の短縮につながることもありますよ。
赤ちゃんが産まれてからはゆっくり掃除することもできないので、出産前にお部屋を大掃除しておくのもおすすめです。
自分の体調と相談しながら、無理のない範囲で取り入れていきましょう。
生活習慣を見直そう
赤ちゃんに影響を及ぼす飲酒喫煙を止めることはもちろん、早寝早起きすることで健康的な体作りができます。
とくに早起きをして朝に時間を作ることで、朝食をしっかりと食べて便意を促すことは妊娠中に多い便秘の改善にもつながります。
また、日光を浴びるような規則正しい生活を送ることで自律神経が整えられ、幸せホルモンであるセロトニンが分泌されるので、基礎代謝を上げたり精神的にリラックスしやすくなりますよ。
生後半年もすれば赤ちゃんは朝から元気にママを起こすようになるので、妊娠中から朝型の習慣をつけておくとよいでしょう。
妊娠中に太りすぎるとどうなる?
妊娠中の体重増加は、標準体型の人で7~12kg程度が理想といわれています。
1週間で0.5kg以上体重増加が見られる場合、お医者さんの指導が入り食事制限などが行われるほど、妊娠中の太り過ぎはリスクが高いということです。
太りすぎるとどんな危険が迫っているのか、見ていきましょう。
赤ちゃんに異常が出たり難産になることがある
急激に太ると、お腹や手足だけでなく赤ちゃんの通り道である産道にも脂肪がつきます。
産道が狭くなることで赤ちゃんが外に出てきづらくなるため、時間がかかり難産になってしまうのです。
また、肥満気味のママから産まれる赤ちゃんは、4000g以上の巨大児になる可能性が高まります。
巨大児はさらに出産時のリスクが高まるため、緊急帝王切開になる場合もあります。
痛みと出血多量で意識を失うママがいるほど、太りすぎでの出産はリスクが大きくなります。
妊娠糖尿病や高血圧症候群などのリスクがある
太りすぎてしまうと、妊娠糖尿病にも注意が必要です。
妊娠糖尿病は母体だけでなく、赤ちゃんにも影響を及ぼす危険な病気です。
機能不全や低血糖、そして最悪は死に至ることもあります。
また同様に、高血圧の状態が続く妊娠高血圧症候群のリスクも高まります。
高血圧症候群は出産時に母体にも危険を及ぼし、赤ちゃんの機能不全や発育不全を引き起こすことがあります。
このような状態になると出産前に管理入院になる場合もあるので、気を付けましょう。
痩せすぎにも注意。適正体重を守ろう
BMIが極端に低い女性は、妊娠しても赤ちゃんの体重がなかなか増加せず、低出生体重児を産むリスクがあります。
骨密度が低く骨折をしやすかったり、子宮内膜症を発症したりと、妊娠や出産に耐えられる体ではなくなってしまいます。
まずは適正体重のBMI19~24を目指し、健康的に体重を増加させることが必要です。
ダイエットによる赤ちゃんへの影響は?
妊娠中にママが過度なダイエットをすることによって、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。
どんなリスクがあるのかを知って、本当にダイエットが必要か考えてみましょう。
ママの極端なダイエットも危険
ランニングやスポーツなどの激しい運動はダイエットに必要不可欠です。
しかし妊娠中に同じように動けば、子宮内が刺激されて流産や早産の危険性が増してしまいます。
また、ファスティングや極端な食事制限で体重を落とすことも、妊婦中のママにはおすすめしません。
妊娠中の体は、ただでさえ貧血や栄養不足に悩まされることが多くなります。
赤ちゃんのためにも、適度な運動や栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
イギリスの研究では「栄養失調で生まれてきた子どもは、将来的に生活習慣病にかかりやすくなる」というデータが発表されています。
自分が痩せたいという理由で赤ちゃんに悪い影響を与えないように、母子ともに健康であるように体調を管理してくださいね。
出産リスクが高くなる
ママが痩せすぎると、赤ちゃんの在胎日数が短くなってしまい、十分に成長しないまま出産を迎えてしまう傾向にあります。
日本では全出生児のうち10人に1人が、体重が2500グラム未満で産まれた低出生体重児という状況であり、その原因の一つにママの過剰なダイエットが関係しています。
低出生体重児は、消化器や呼吸器が未熟なまま産まれてくるため、通常より長く入院し特別な医療行為が必要です。
まとめ
妊娠すると、体重が増加したり体の脂肪が気になったりと、どんどん変化していく体型にダイエットを考えるママも多いでしょう。
しかし、体の変化はお腹の中の赤ちゃんに栄養を届け、健康的に育てるためのものです。
赤ちゃんを守るために、適正な体重管理を続けて、素敵なマタニティライフを送ってくださいね。